日和幼稚園の判決と防災マニュアルの有効性

東日本大震災で起きた大変悲しい幼稚園園児の死亡事故について、昨日判決がでました。
「東日本大震災の発生直後、宮城県石巻市の高台にある私立日和(ひより)幼稚園から海側に出発したバスに乗せられ、津波に遭った園児5人が死亡した事故で、仙台地裁は17日、園側に約1億7700万円の賠償を命じた。判決は遺族の主張をほぼ全面的に認め、園の「失態」を次々と認定した。」
今回の判決で、裁判官は「園長が地震発生後の津波に関する情報収集義務を怠り、バスを高台にある園から海側の低地へ出発させたことが津波被災を招いた」と判断、園の法的責任を認めました。河北新報社

今回の判決で明るみになった幼稚園の失態の一つである「防災マニュアル」について検討してみたいと思います。日和幼稚園は防災マニュアルが用意されていました。この手順によると「大震災発生時、幼稚園で保護者に園児を引き渡す」と定めています。しかし、この手順には従わず園児をバスに乗せて発車させてしまい、結果として尊い5名の園児が死亡してしまいました。幼稚園としては形式上この防災マニュアルを作成していましたが、本当に発生した大震災では全く機能していなかったということです。また、この防災マニュアルは園の職員に配布さえしていなかったとの情報もあります。

ほとんどの幼稚園では防災マニュアルが整備されています。ただし、このマニュアルが実態に則したものであるかの確認しているでしょうか。東日本大震災発生後、多くの幼稚園では防災対策を見直しをしているようですが、重要なのは震災を想定して防災マニュアルで定めた手順が正しいかどうかテストしてみることです(実際やってみる)。 現在、自治体や団体等で模範的な防災マニュアルのサンプルを提供していますので、是非この機会に防災マニュアルを見直してみてはいかがでしょうか。
ご参考:東京都私立幼稚園連合会

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